ミュージアム巡り 水心子・江戸三作 出羽国住人大慶庄司直胤

出羽国住人大慶庄司直胤

 続いて、刀銘「出羽国住人大慶庄司直胤(花押) 彫よしたね 野も山も照らさぬ月はなけれども 海にやふかく陰やどるらん」(製作年:1813年、長さ:72.7cm)。

 本作は、正秀の復古刀論に基づいて景光や兼光を理想として作刀されたもの。刃の冴えなど本工同作中の備前伝の白眉ひとつとして名高く、門弟の義胤による彫物も刀身を引き立て、その価値を高めている。

 茎に彫られた和歌より“月影直胤”の号が付され、直胤による創作が否かは定かでないものの、秋の月夜の静寂と柔らかい月光の情景が思い起こされる一品だ。

touken(墨田区横綱1-12-9)