ミュージアム巡り 江戸大奥 掛絡 白地幸菱葵紋散模様浮織物

 次は天樹院(千姫)所用の「掛絡 白地幸菱葵紋散模様浮織物」(17世紀、浮織物・絹、丈83×幅48cm)で、掛絡とは“絡子”とも称され、首にかけて使用する五条袈裟。幸菱紋の上に三つ葉葵の丸紋を散らした模様を織り出され、白い浮織物(縦3枚綾地に緯糸を浮かせて模様を織り出す)で仕立てられている。

 また“安陀会”とも称され、作務衣として用いられた下位の袈裟。首にかける掛絡は、作業をしやすいように仕立てられた略式袈裟で、主に禅宗で用いられた。その後、室町時代に成立した能に登場する僧侶役にも用いられ、江戸期に入ると出家した高位の女性にも用いられた。

 本来、このような意匠の浮織物は有職故実における婚礼の搔取(打掛)として用いられ、天樹院(千姫)の人生をたどると婚礼衣装を袈裟に仕立て直したと推測される。

 続いて、二代将軍秀忠の娘・天樹院(千姫)の菩提寺・弘経寺に伝わる姿絵をもとにした「復元衣装」(2021年、搔取:練緯・絹、絞り、摺箔、描絵、搔取:丈150×桁64cm)で、搔取と間着。千姫が姫路城で過ごした江戸時代初期を想定し、現代の着物に比べ身幅は広く袖幅が狭い形状に仕立てられている。

TNM(台東区上野公園13-9)