
本所には七つの不思議がありシリーズとして、置行堀、片葉ノ芦、無燈蕎麦、送り提燈、足洗邸、狸囃子、送撃柝の七話が選ばれている。直、撰者によってはその内容が異なるのもある。
ここでは撰者・野久知橘筵が詳細が不明ながら、明治10年代後半に数冊の絵入り銅版絵本にも名を残し、同シリーズの2点に“葛西太郎の後統”または“葛西太郎の後音”と記されているため、向島の料理屋・葛西太郎(平岩)の関係者であると推定される。
次は、本所七不思議之内の「置行堀」(以下同じ:明治19年・1886、三代歌川国輝画、版元:小島亀吉、大判錦絵)で、釣りをして自宅に着くと、堀から“置いてけ”と声がかかる。帰宅途中に釣った魚はいつの間にかいなくなり、堀に落ちる者もいたという。

そして、「片葉ノ芦」では、横綱町の留蔵が亀山町のお駒に言い寄ったが、なびかないため、逃げるお駒に切りつけ片方の手足を切り落として殺害、溝へ蹴り落とす。その後、溝に生える芦は片葉になったという。

さらに、「無燈蕎麦」では、蕎麦屋の行灯に明かりをともしても、なぜか直ぐ消えてしまい、油皿から油気もなくなってしまうという不思議な話。
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