ミュージアム巡り 隅田川の名所 江戸名所之図 むかふ島

むかふ島

 次は、「江戸名所之図 むかふ島」(弘化年間・1844〜48頃、三代歌川豊国画、版元:森屋治兵衛、大判錦絵)で、上部長方形の雷文枠に大きく風景画を描き、手前にその地域に関連した風俗女性を描いたシリーズもの。

 本図は三囲の鳥居を手前に浅草寺を対岸に描き、桜の時期の絵。しかし、青く晴れ渡った風景が洋風の雰囲気で、子供が向島土産の都鳥おもちゃを手にしていることから、花見帰りであると判明。

すみ田川の夕桜

 そして、「すみ田川の夕桜」(弘化年間・1844〜48頃、歌川国芳画、版元不明、大判錦絵三枚続の内1枚)で、花見帰りの女性が手にしているのは向島土産の張り子人形と蜆の入った網袋と目鬘だ。

 隅田川で採れた蜆は、業平蜆の名物で身が大きく美味だった。目鬘は花の盛りの頃に、向島や御殿山で売られ大人も子供も愉しめたという。

百人美女 白髪明神

 続いて「江戸名所 百人美女 白鬚明神」(安政5年・1858、三代歌川豊国&二代歌川国久画、版元:藤岡屋慶次郎、大判錦絵)で、三代豊国が女性の全身像を描いたシリーズもの。コマ絵の風景画は弟子が描居ている。芸者は男物の大ぶり袋物を持ち、目先に贔屓客がいるようだ。

甘い好物

 また、「二五五好今様美人 甘い物好」(文久3年・1863、三代歌川豊国画、版元:加賀屋吉兵衛、大判錦絵)

で、コマ絵に描かれているのは向島名物の桜餅と都鳥おもちゃ。また、皿に載っているお菓子は野菜の砂糖漬け。

(墨田区tabashio横川1-16-3)