ミュージアム巡り 隅田川の名所 東都名所 柳島妙見堂

柳島妙見堂

 柳島村の十間川と北十間川の交差する所に法性寺という日蓮宗寺院がある。この寺院の本尊は妙見大菩薩で、特に江戸時代では霊験あらたかであると参詣者が絶えず、中でも葛飾北斎が深く信仰していたことでも知られている。

 続いて、「柳島妙見堂」(天保年間・1830〜44頃、歌川広重画、版元:佐野屋喜兵衛、大判錦絵横)で、北十間川を手前に法性寺が描かれ、右側には「橋本」という有名料理屋。十間川に架かる太鼓橋は“又兵衛橋”とあり、料理屋の橋本の店主が橋本又兵衛であるので、橋の名前の由来だろうか。

柳しま妙見

 そして、「江戸名所四十八景 廿三 柳しま妙見」(万延元年・1860、二代歌川広重画、版元:蔦屋吉蔵、小判錦絵)で、十間橋を手前に料理屋橋本や柳島一帯が描かれている。名所48景が描かれたシリーズもので、江戸土産として喜ばれた。

江戸名所図会

 また、「江戸名所図会」巻之七(天保5〜6年・1834〜36頃、斎藤月岑他編、長谷川雪旦画、版元:須原屋茂兵衛、縦25.8×横18.1cm)で、柳島妙見堂として法性寺境内全体が描かれている。図には上部に川を十間川と記されているが、上部が北十間川の誤りで、下の流れが十間川。

絵本江戸土産

 さらに、「絵本江戸土産」初編(嘉永3年・1850、歌川広重画、版元:菊屋幸三郎、縦18.2×横12.3cm)で、下を流れる川が北十間川、右の木々の生い茂るところが柳島妙見。妙見菩薩は別名・北辰菩薩とも呼ばれ、北極星や北斗七星と関わりが深い。境内の松は、梢に北斗星が降臨する霊樹とされ、“影向松”と名付けられている。

tabashio(墨田区横川1-16-3)