ミュージアム巡り CB風雲児_蔦重 箱入娘面屋人魚

箱入娘面屋人魚

 次は、「箱入娘面屋人魚」(寛政3年・1791正月、版元:蔦屋重三郎山東京伝作、3冊墨摺小本、各縦17.4×横12.7cm)で、一丁表には蔦重が裃姿で“まじめなる口上”を述べる絵が描かれている。

 この口上の中にある“あしき評議”とは、寛政元年(1789)に刊行された黄表紙「黒白水鏡」の筆禍事件のことを指しており、京伝は戯作活動を続けない意向であったようだが、蔦重のたっての頼みで本作品を執筆したようである。

 物語は、沖釣りを家業とする主人公が人魚を妻とし、その妻が吉原で人魚の見世物となるもの。当時人魚を見ると長生きが出来ると言い伝えがあり、その掲載場面は人魚の妻が身支度をしているシーンが描かれている。

TNM(台東区上野公園13-9)