
続いて、「仕懸文庫」「娼妓絹籭」「錦之裏」、3作とも(寛政3年・1791正月、版元:蔦屋重三郎、山東京伝作&画、1冊、墨摺小本、縦15.9×横11.1cm)で、いずれも京伝作の袋入りの“教訓読本”と題して販売したものの、内容が幕府の統制に触れ、京伝は手鎖50日、蔦重は財産没収(身上半減闕所)の処罰を受け、さらに3作全てが絶版になったという。
まず、「仕懸文庫」は肩書きに“大磯廓中光景・鎌倉遊子伝記”とあり、内題には角書で“大磯風俗”とある。大磯や鎌倉と書かれているものの、舞台は江戸深川の遊郭で遊里の人間模様を著した作品。

「娼妓絹籭」は、将棋定石書「将棋絹籭」を元にし、角書に“手段詰物”とあり遊女と客の関係を将棋の局面や詰め手になぞらえている。舞台は大坂新町で遊女が梅川(近松門左衛門作の浄瑠璃「冥土の飛脚」に登場)がみた夢話が展開されている。

「錦之裏」は内題“青楼昼之世界錦之裏”で、遊女の夜の華やかさを錦の表、昼の世界を錦の裏に見立てている。舞台は摂津神崎にある遊女屋吉田屋で、浄瑠璃「夕霧阿波鳴門」の遊女夕霧と藤屋伊左衛門との話。
TNM(台東区上野公園13-9)