老中松平定信が提唱した文武両道奨励政策を揶揄した内容で、後の筆禍事件の引き金となっている。さらに、作者の喜三二は主君から筆を置くよう命ぜられ、本作を最後に戯作執筆を停止。しかし、本作は当時大好評を博した黄表紙。
本作は十五丁一冊の袋入り初版本で、柱の丁付上には終始“万石”とあり、最終丁裏に喜三二戯作・哥麿門人行麿画の明記がある。この万石通とは玄米と籾とを選別する農機具で、千石通よりも造りが大きい。つまり、大名・小名を文武に心ある者となまけ者との二つに選別するものを主旨としている。この発想はもちろん蔦重だ。
掲載場面は、富士山に不老不死の薬があるといわれ、源頼朝の命を受け畠山重忠が大名・小名に指示を出して向かわせる。文雅洞、妖怪洞、長生不老門のそれぞれの穴に入っていき、長生不老門に入ったぬらくら者の根性をたたき直されるもの。
TNM(台東区上野公園13-9)
