
次は、「五葉松」(天明4年・1784、朋誠堂喜三二序、四方山人:大田南畝跋、1冊、墨摺中本、縦18.4×横12.6cm)で、蔦重の「吉原細見」の独占販売は同書・五葉松から始まっている。序文を喜三二、跋文を南畝がそれぞれ寄せているのは、蔦重の戯作界での人的交流が現れたもの。
従来の鱗形屋版「吉原細見」と比べると、蔦重版は中本で通りに並ぶ見世が上下ににらみ合うようにレイアウトされている。これは実際、本を手にしながら遊郭を闊歩することを想定して制作されており、一見さんでも吉原の店並や雰囲気が手に取るように伝わる工夫がなされている。
このように情報の新しさと実用性に富んだ同書は、よく売れた由縁である。この“細見”とは、詳細に物事を見ることの例えで、“○△を細見する”というように使われていた言葉。
TNM(台東区上野公園13-9)