ミュージアム巡り CBの風雲児・蔦重 隅田川図巻

隅田川図巻

 上野公園にある東京国立博物館(TNM)で、特別展「コンテンツビジネスの風雲児 蔦屋重三郎」(2025年4/22〜6/15)が開催されており、開催日初日に伺い各作品を鑑賞した。

特別展バナー

 江戸時代、蔦重こと蔦屋重三郎(1750〜97)は、喜多川歌麿東洲斎写楽といったトップ芸術家・浮世絵師を世に出した傑出の出版業者。

 蔦重は江戸の遊郭や歌舞伎を背景にしながら、狂歌の隆盛に合わせて狂歌師・戯作者とも親交を深め、武家や富裕層町人から人気のある役者や戯作者、絵師とのネットワークを縦横無尽に広げ交流し、現代のメディアミックス基板を構築して出版業界に様々な新機軸を提唱した。

 蔦重はその機知と商才を活かし、コンテンツビジネス世界に革新をもたらし、消費者のニーズに機敏に応じて、それを追い求めた47年の短い人生を謳歌している。その蔦重が、江戸時代後期を闊歩した出版文化の価値観や芸術の粋が展示されていた。第1弾として、吉原細見・洒落本・黄表紙の革新を鑑賞。

 まず最初は、「隅田川図巻」(文化期・1804〜18、鳥文斎栄之筆、1巻、絹本着色、縦30.3×394cm)で、商家の神・恵比寿と大黒天、福禄寿の三福神が隅田川猪牙舟で遡り、吉原で遊ぶ図。

 鳥文斎栄之は、旗本出身の絵師で天明期から寛政期にかけ美人画の分野で、喜多川歌麿のライバルとして活躍。寛政10年(1798)頃には浮世絵版画を止めて肉筆画に専念。隅田川の名所を巡る吉原通いのテーマ絵巻は需要が多くあり、同工の作品がいくつか残っている。

TNM(台東区上野公園13-9)